変異株、複数ルートで流入か 水際対策強化の隙を突き

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編集委員・田村建二
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 国内で感染が広がる新型コロナウイルスの変異株は、国が変異株の流行地として警戒している以外の地域を経由して流入したケースが複数あるとみられることが、ウイルスの遺伝情報などを分析した慶応大チームの調査でわかった。人の往来にのって変異株が第三国を介して間接的に入り込んだとみられ、現在の水際対策の課題が浮かぶ。

 新型コロナの遺伝情報は、4種類の文字からなる「塩基」という物質が約3万つらなってできており、15日に1文字ほどのペースで塩基は入れ替わっている。

 慶応大チームは、国立感染症研究所や地方の衛生研究所、大学などが国際的なデータベースに登録し、公開されている新型コロナの遺伝情報などを分析した。空港の検疫で見つかったものは含んでいない。

 すると、同じ英国型などの変異株でも、細かな塩基の違いによって複数のタイプがあることが判明した。これらを海外で見つかった変異株ウイルスと比べると、流行国以外の地域を経由するなどして、それぞれ違う時期に国内に入ったらしいことがわかってきた。

 英国で最初に見つかった変異株は大きく5タイプに分かれ、うち四つは今年1月以降、変異株の流行国・地域に指定されていなかった東南アジアや中東などを経由して流入したと推定された。ブラジル型は2タイプに分かれ、うち一つはやはり指定の対象外だった米国を経由して2月に流入、南アフリカ型も2タイプで、指定の対象外だった欧州経由で2月に流入したと推定された。

 新型コロナは感染していても、体内のウイルスの量が少ないなどの理由で、出入国時の検査では感染がわからないことがある。

 政府は昨年12月24日以降、変異株が流行していた英国や南ア、ブラジルをはじめ、変異株の流行国・地域からの入国者に対する水際対策を順次強化。英国などからの入国者については3日間、インドなどは10日間、検疫所が確保する宿泊施設に入ってもらい、計14日間は自宅などでの待機を求めている。だが、経由したとみられる多くの国がこうした措置の対象となったのは、3月以降だった。

■流行国以外の水際対策に遅れ…

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