令和3年10月から、先天異常症候群の診断のためのマイクロアレイ染色体検査が健康保険で実施可能になりました。
マイクロアレイ染色体検査の結果の解釈には専門的な知識を要します。
厚生労働省研究班「先天異常症候群のライフステージ全体の自然歴と合併症の把握:Reverse phenotypingを包含したアプローチ」では解釈を支援するためのツールを開発いたしました。
現在は、欠失領域の解釈のみに対応しています。今後も開発を継続する計画です。
- 本ソフトウェアは研究の支援を目的とするもので、無償でご利用できます。
- ただし解析結果の妥当性については、解析者ご自身の責任で判断の上、ご使用ください。
- 本ソフトウェアの使用に基づいて発生したいかなる損害についても、ソフトウェア作成者や研究班は一切の責任を負いません。
使用環境
- Microsoft Windows7以上で作動します。
- MacOSには対応しておりません。また対応の予定もありません。
- ソフトウェアを起動し、ソフトウェアのウィンドウ内に、データファイルをドラッグ&ドロップします。
検索対象
- 英国のDECIPHERプロジェクトが定義している66疾患
CNV syndromes(https://www.deciphergenomics.org/disorders/syndromes/list)に登録された領域とサンプルの欠失・重複範囲のオーバーラップを検出する。(例22q11.2欠失症候群・ウィリアムズ症候群やプラダー・ウィリ症候群など古典的な微細欠失症候群) - pLIスコアが0.9以上の遺伝子
pLIスコアは、先天性疾患などの症状のない大規模な人口集団のゲノム解析においてナンセンス変異やフレームシフト変異を認めない遺伝子であり、欠失した場合は何らかの症状が出現すると予測される遺伝子である。
https://genome.ucsc.edu/cgi-bin/hgTrackUi?db=hg19&g=gnomadPLI
欠失領域にpLIの高い遺伝子が含まれている場合、その欠失には病的意義がある可能性が高いと想定される。
入力ファイル
- BEDファイルを作成し、ドラッグ&ドロップ
- BEDファイルの形式とは
- 1列目 染色体番号
- 2列目 欠失始端の座標
- 3列目 欠失終端の座標
- 4列目 ’Loss’もしくは’Gain’ (クォーテーションは不要)
*データ入力はGRch37(hg19)の座標に対応しています。
- BEDファイルの形式とは
- BED形式のファイルの内容を、コピー&ペースト
- カメラもしくはバーコードリーダーを用いたQRコードのスキャン(試用)
注意事項
- 本ソフトウェアはヒトゲノム参照配列GRCh37/hg19に準拠して作成されています。
- ソフトウェアのバージョンは2.0です。
- 本ソフトウェアはマイクロアレイ染色体検査の結果において、①CNV syndromesとして登録されている症候群の欠失(LossあるいはDeletion)と重複(GainあるいはDuplication)、②pLI>0.9の遺伝子の欠失を評価の対象としています。個々の遺伝子の重複については評価の対象外です。
- 健常一般集団のゲノム研究を利用したフィルタを採用しているため、表面的な症状を呈することのない内臓疾患の原因遺伝子、あるいは成人期に発症する疾患の原因遺伝子については、検索から除外される可能性があります。
アップデート情報
- “簡易モード”“詳細モード”の統合
- 健常者集団を対象としたゲノム研究における頻度の高い欠失・重複の除外
- 頻用するDecipher, OMIMのデータベースへのリンクを収載
使用方法説明動画
制作:慶應義塾大学医学部臨床遺伝学センター
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