- われわれは、2021年1月12日に、米国西海岸から日本に20Cに分類されるB.1.346株が関東地方に流入した可能性があることを報告した。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210112/k10012810691000.html - 今般、その後の国内における流行を調べるため、国際新型コロナウィルスゲノムデータベースGISAIDに日本から登録されいてるウィルス株公開データを分析し、20Cの分子系統樹を作成した。
- 最初にわが国でB.1.346株が検出されたのは2020年11月中旬である。以来、3月までの3か月半の間で11月に検出されたB.1.346株の末裔と考えられるウィルス株が150株検出されていることが判明した。わが国においてPCR陽性患者の一部のみのゲノム配列が決定されていることから、実際の患者数はこれより多いと考えられる。
- 分子系統図に示す通り、観察期間中に新たなB.1.346株の流入は観察されていない。3か月半の間に最大6か所の変異を蓄積しているが、感染性や病原性を増加させる可能性のある変異の発生は認められていない。
- 今回、検疫等をかわす形で特定の海外株が国内に流入した場合に、市中感染として広がり得ることが明示された。B.1.346株に限らず、今後、海外から流入するであろう株の流行状況をより正確に知るためには検出地情報の共有が望まれる。