国際ウィルスゲノムデータベースGISAIDに公開されているウィルスゲノム配列を、国際標準とされるNextstrainの方法にしたがって、いわゆる英国株、南アフリカ株、ブラジル株それぞれについて解析を行った。
その際、
- 日本で検出された各変異株の全データ
- 上記と遺伝子配列の類似度が極めて高い海外データ
- それ以外の海外データのサンプリングデータ
を合わせて分子亜系統樹を作成した。
なお、解釈の際には、検疫で同定された株は「日本国内に流入した」とみなさないこととした。
ウィルスの伝搬経路を正確に推測するためには、全世界において十分数のウィルスゲノム配列が継続的に監視されることが必要である。
ウィルスゲノム解析の進捗には国際的に地域差があることから、本解析の結果の解釈には注意を要する。
下記に各変異株の分子亜系統樹を図示する。
1.いわゆる英国株が少なくとも5亜系統に分かれて日本国内に流入した。
4亜系統は欧州や、東南アジアないしオセアニア、中東等を経由して流入した可能性が高い。
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2.いわゆる南アフリカ株が少なくとも2亜系統に分かれて日本国内に流入した。
両亜系統ともヨーロッパを経由して流入した可能性が高い。
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3.いわゆるブラジル株は少なくとも2亜系統に分かれ日本国内に流入した。
うち1亜系統は米国を経由して流入した可能性が高い。
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4.いわゆるインド株が少なくとも9亜系統に分かれて日本国内に流入した。
3亜系統は英国、1系統は米国を経由して日本国内に流入した可能性が高い。
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